餅之介太郎

桜餅誕生三百周年記念 春の和菓子まつり 洋コースに当選しました

本日、なにやら重い宅配便が届いた…と思ったら、ちょっと前に応募していた「桜餅誕生300周年記念 春の和菓子まつり」プレゼントに当選していました。
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主宰の全国和菓子協会のウェブサイトはこちらです。厳正なる抽選の様子の写真が!
同封されていたお手紙を拝見すると

全国各地から15,435通というたくさんのご応募をいただきました。

とのことで、その中から洋コース150人の中に選んでいただいて光栄です!(もうひとつ和コースがあり、私は洋コース希望で応募しました)
当たった当たった、わーうれしい、だけでは、読んでくださる方にはなんの楽しみもないので、来年以降のご参考のために応募方法をお伝えしておきますと、なんと、はがきだけなんです。ウェブとかSNS経由ではない。あくまではがきだけ。

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縁起の良いお餅ヒメノモチでお相撲さんと村おこし

いよいよ五月場所が始まりますね。
ゴールデンウィーク、東京・両国の国技館で開かれた楽しそうな村おこしお餅つきイベントのことを書こうと思います。
昔ほどではないけれど、あちこちで開かれているお餅つき。
そのなかでも
このお餅つきはとってもハイパースペシャル
でした。
スペシャルさの観点は3つあって

その1 村の珍しさ
その2 お餅つきスタイルの珍しさ
その3 お餅と結びつけた付加価値の珍しさ

この3要素が絡み合って、希少価値を生み出しているところに感動して帰ってきました。
では一つ一つ熱く語りたいと思います。
その1 村の珍しさ
まず、お餅をつく人たちのバックグラウンドが珍しい。
主催は岡山県新庄村(しんじょうそん)。「山形県の新庄じゃありませんよ~」と職員さんが明るく冗談言ってましたが、何が珍しいかというと
人口約1000人、380世帯の村(新庄村ウェブサイトより)
なんです。
平成27年の国勢調査によると人口866人。
といっても、全国で1番ではなく、32番めに人口が少ない村。もっと少ない村だと、原発関連で全村民が避難していた浪江町とかは当然人口ゼロ。あと、東京都でも青ヶ島村とか利島村は人口300人台。なので、新庄村だけがとびきり人口が少ないわけではありません。
が、日本の人口が1億2711万0047人のうちの866人と考えると、とっても少ない。
そんな村の人たちが岡山から東京にPRにやってきた!というのはインパクトありました。
しかし、正直言って、もしかしたらこういう村おこし地域おこしイベントってよくあることで、目新しくもないかも。
東京にはほかの県のアンテナショップがたくさんあって、年中あちこちでいろいろなイベントをやっているので…。
その2 お餅つきスタイルの珍しさ
でも、このお餅つきはそれだけじゃない。
お餅つきの方法が珍しかった!
それは

水を加えずに4人一組できねを振る村伝統の手法2017/04/22 山陽新聞

この方法のどこがすごいかというと
4人で搗くことで
あっという間に搗き上がる(1分くらい?)
(餅つきのコツはとにかく早くやること。のんびりやっていると米粒が残ったり、冷えてしまう)
さらに、この搗き方にコツがあり

Aさんが、臼の中の餅めがけて杵を振り下ろす

Aさんは餅に突き刺さった杵をくるっと動かして餅をコネる

Aさんはコネたお餅を杵で動かし、Bさんの目の前に移動する。

Bさんが、臼の中の餅めがけて杵を振り下ろす

以下、CさんDさんAさんBさん…と繰り返す

工程2のところで、お餅をコネるので、コネ手がいらない。搗き手だけで、搗いてこねていくのです。これが目にも留まらぬ速さ!
静止画でこの感じ伝わるでしょうか。IMG_7996.JPG
そしてこの方法だと、コネ手がいなくて、手水をつかわないので、水っぽくならない!
ライブ感がすごいし、説明している職員さんもすごい楽しい。

「村では餅をつけない男など、一人前ではないと言われます。私は搗けないのでまだ一人前ではないです


とか。
でも、地方によっては二人以上でやる「早搗き」はあるので、珍しくないという人もいるかも。
で、3つ目の素晴らしい要因は…

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ラテックスフルーツアレルギーの人が和菓子教室に参加する時

一昨昨日のブログの概略
お餅系和菓子など、こねたり手のひらでころがしたりする和菓子教室は、医療用みたいな、手にぴったりフィットするゴム手袋の着用がのぞましい、でも、ラテックス・フルーツアレルギー患者にはゴム手袋は危険。なので、これからは内側につける綿や麻のインナー手袋を持参しようと思った。
一昨日のブログの概略
しかし、いろいろ論文などを調べてみると、インナーに綿や麻の手袋を使用しても、重篤化していく場合もあるようだ。ゴム手袋のすべりをよくするパウダーが原因と思われる。インナーにポリウレタン手袋を使用すると改善する症例もあるらしいが、パウダーフリー手袋を使用することがまず大事らしい。
昨日のブログの概略
厚労省からメーカーへ、2年以内にパウダーフリー手袋への供給切替えするよう通達が。ということは現段階では自力で、自分に合う手袋を選ばなければいけない。でも、結構種類があって難しいものだ…。
本日はここから
通販のウェブサイトを見てたらちょっと頭が混乱してきたので、もう一度基本に戻って。
作業用手袋の種類については、兵庫県篠山市に会社にある「作業用品専門店まもる君」のウェブサイトにとてもわかりやすい説明がありました。ここでハッとしたのは、「食品の調理・加工など食品衛生法下での作業にご使用される場合は『食品衛生法適合品』からお選びください」と書いてあったこと。厚生労働省の基準で決まっているようです。
そりゃそうだ。口に入るものを作るための手袋だから、そちらの方もきちんとしてないといけない。熱いものを触ったときに、手袋が溶けて有害物質が出て食べ物に混じったりしたら大変ですもんね。そうかそうか。
調理用のゴム手袋選びは、医療用ゴム手袋とは違う選択の難しさがあるわけですね!

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柏餅の葉っぱは食べられる? もぎたてじゃない? どう加工するとああなるの?

5月2日のブログで、柏餅の葉っぱが茶色から緑に変化しつつあるということを調べてみましたが、本日は製法と産地について調べてみます。
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食べられるか食べられないか(食べたいか食べたくないか)を考えるなら、ほかの食品同様、製法と産地を知るべきだな、と思ったので。
結論から言えば、食べたい人は食べればいいし、食べたくない人は食べなければいい。
食べちゃいけないという法律はないので。ですが…
和菓子屋さんにおそるおそる聞くと、「柏の葉っぱ?食べないですね」と言われますね。
理由は、柏の葉っぱの役割は

香りづけ
くるんだお餅が乾かないようにする
(ハンバーガーを紙で包んで、バンズの乾燥を防止しているように)

ためのものだから。
柏餅の葉っぱってどうやって加工しているの?


1995/07/03付の日本食糧新聞によると

「わが国の市場は、従来の乾燥品取引から今は大半が使いやすいグリーン葉にかわり、一部で着色なしの茶色のパック詰が出る。」
※乾燥品取引 前年にとれたものを乾かして保存しておき、それを水で戻して使っていた。

さらっと書いてありますが、
「着色なしの茶色」ってことは…

茶色の葉っぱ 着色なし
緑色の葉っぱ 着色あり

ってこと?「グリーン葉」は色鮮やかだからフレッシュってわけではないの!?
何か記事の間違い?と思ったけれど、
でもそうですよね。こういう添加物あるいは技法って柏の葉に限らず使われているものね。特別、驚くことでもないのかも。
そしてこの記事で合点がいったこと。
1994/05/05 大阪読売新聞には

採取した生葉を蒸気で蒸し、塩漬けした後のゆで方で茶と緑の違いが出る。

と書いてあったんですが、同じ記事に、和菓子店社長のコメントとして

「茶色より割高ですが、見た目がきれいで購買意欲をそそるのでは」

とある。
茶と緑の違いはゆで方、と書いてある一方、ゆで方だけで緑が茶より割高になる????
どれだけゆで方が違うのか?とひっかかったけど、ゆで段階でなんらかの方法で「着色」するのなら、ひとつ工程が増えるから、その分価格が上乗せになるのも当然なのかな。
まあ、これも20年くらい前の記事なので、いまなら真空パックの技術も進んで、無添加でも緑をキープできる技術とかできていそうな気もしますが…。
こういうことを語る以前に、
柏の葉はそこらへんの木の葉っぱをもいできて、それで作っている=究極の地産地消、だと思いこんでいた、自分の無知さにがっかりです。
家の近所に柏の木なんて見ないのに。どこの日本昔話かよ!
と自分につっこみを入れてみましたが、よく考えたらそんなレベルの勘違いじゃない。

(柏の葉の産地は)国産では伊豆、長野、青森などの東北地方に一部ある(2015/02/13 日本食糧新聞)

だけなんですから!
そもそも東京は柏の木の産地ではないですから、近所で柏の葉をもいでつくるというのは昔話でさえなく、脳内幻想というか夢想でしかなかったのでした。
そして自分は、お餅とか和菓子と向かい合うと、自動的に「古きよき日本」(と自分が思いこみ、創り上げている脳内ノスタルジック世界)へタイムトラベルしがちなことがわかったのでした。気をつけよう。

柏餅の葉っぱ 食べる 食べられる

毎年なんとなくシーズンが来て、なんとなく食べている柏餅。
先日、「最近の人は、茶色い葉っぱをいやがるから…」という話を和菓子屋さんの店頭で聞いて、???と記憶をプレイバックさせてみたら…
たしかに昔の柏餅の葉っぱは茶色かった気がする!
柏餅教室の先生も

「昔は、乾いた柏の葉を水でもどして使っていて、気をつけないと乾いた葉が欠けてしまうので気をつかった」

とおっしゃっていたので、私の記憶とも合致するようです。
で、今の柏餅の葉っぱは緑だわ!
先日のお教室で配られた葉っぱはこんな感じ。IMG_7818.JPG
じゃ、なんで最近の葉っぱは、鮮やかな緑になったんだろう?
桜餅の葉っぱは食べても柏餅の葉っぱを食べる、という人に会ったことがないのだけれど…
調べてみると、時代をさかのぼること30年前!の新聞記事で発見しました。1987年4月29日付読売新聞朝刊の

「柏もち 伝統の味に“製造異変” 包む葉の九割は輸入」

という記事。(著作権の関係でリンクできません。というか、リンクしてもたぶんお金を払わないと開けないシステムのはず)
異変」と見出しに書いてある、ということは、30年前はまだ従来の茶色い葉っぱが主流だったのかな。
記事によれば

「今年お目にかかる分は、実は昨年収穫されたものを保存し、使っている」

とのこと。理由は

「葉が生長し、品質が定まるのは気候などの影響もあるが、平均すると五月二十日から六月初旬。これでは、端午の節句には間に合わない。」

から。
そうだったんだ!葉っぱに顔を近づけると、いい香りがするので、フレッシュなんだと思いこんでましたが、
採取→乾燥させて保存→使用時に水で戻す
から茶色だったのか!
それが技術革新によって、

「数年前から生の緑色を保つ真空パック製が開発された」

と記事には書いてある。1987年の数年前だから1980年代前半から緑の葉っぱが登場し始めたんですね。上野忠という和菓子材料の会社<が他社にさきがけて開発したようです。
Step1 採取
Step2蒸す
Step3塩漬け
Step4ゆでる
Step5真空パック
という流れでしょうか。技術革新てすごい!
なにげなく、お餅をくるんと包んでいる柏の葉っぱも掘り下げていくと本当に奥深いことです。

お餅を網にくっつけずに焼く方法2

こんなこと、すでに知ってるよ!という方も多そうな話ですが、自分にとってはいろいろ考えさせられた経験だったので書いておこうと思います(備忘録として)、という、昨日のエントリーの続きです。
※このお餅店については、私のInstagramにポストしていません。
家に戻る道すがらいろいろ考え、お餅甘味処&持ち帰り店のご主人の言葉を裏読みするのはやめよう、という結論にいたりました。
他人の心のなかをいくら想像しても真実はわからないし、深読みしすぎてクルクルと空回りして疲れてきたので。
なので、
「お餅を網にくっつけずに焼く方法は(素人には)ありません」
という言葉を文字通り受け止めることにしました。要するに、この世にそのような夢のような技術・方法はない、と。なので、そのお餅カフェで買ったお餅は自宅で焼くことは考えず、柔らかいうちに食べきってしまい、そのことは記憶から薄れていきました。
ところが、しばらくたったある日、スーパーでおもしろいものを見つけました!
これです!これ!

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お餅を網にくっつけずに焼く方法

こんなこと、すでに知ってるよ!という方も多そうな話ですが、自分にとってはいろいろ考えさせられた経験だったので書いておこうと思います(備忘録として)
お餅を焼く→網にくっつく 
というのは、仕方ない事実のようなものだとずっと長いこと思ってきました。いわゆる餅網っていうのかな? 丸い網をガスコンロに載せて焼くとか、バーベキューのときに炭火のはしっこで焼くとか、オーブントースターの網でも。pr00636S.jpg
とにかくすべての網でこういう事態は起こるものだ、と思い込んで生きてきました。
ひどいときは全体量の半分くらい網にくっついてたりして。
しかし、よくよく考えてみると、やっぱりそれってひどくお餅がもったいないんじゃないか?
そして、もう一つ気づいたのは、お店でお雑煮を注文すると、お餅はきちんと四角い原型を保っていて、網にくっついたのを無理やり剥がしたふうではない、ということでした。100%お餅を使い切っていて、無駄がない。
きれいに焼けるものなら、焼いたほうがイイに決まっている!可食部100%のほうがいいに決まっている!そしてそれにはきっと何かコツがあるはずである!
プロに聞いてみたら
と思ったので、ある日、お雑煮を食べられる食事処&お餅小売もしているお店のご主人に、お会計の後、思い切って聞いてみました。お雑煮はおいしかったし、搗きたてのお餅も運良く買えたので、これは家でうまく焼きたいな、と思って。
「このお餅、網にくっつけずにうまく焼くコツってありますか?」
答えは「ちょっと、わからないですね」
…微妙な雰囲気。
「あ、でも、お店のお雑煮、とてもきれいにお餅焼いていらっしゃいますよね。炭火で、網で、こんなにうまく焼けるんですね」
と、沈黙を埋めようと焦って、うっかり話し続けた結果、なんとなく食い下がってしまったようなムード。
するとご主人、しばらく沈黙…。しかし、これ以上私が発話するのもよくなかろうと、私は黙っていたのですが、沈黙をいつまでも続けるわけにもいかないのか、ついに一言、口を開いてくれました。
「網で焼く以外、わからないですね」
禅問答のようです!

短い会話を整理してみると、

網以外の焼き方は知らないが、網で焼いてみたらどうか。

ということかな??? 網でうまく焼けないっていう私の前提条件と、回答が噛み合わない気もするんだけど???

網以外の焼き方は知らないが、網で焼いて(経験を重ねて)みたらどうか。

ということでしょうか。
わ、わからない…。
で、結局、その後どうなったか、どうしたかというと、ちょっと長くなりましたので、続きは明日。
※このお餅店については、私のInstagramにポストしていません。